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更新履歴、拍手の返信、時に明星について鬱陶しいほど語ってみる
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 っつっても、ジャンプネクスト発売日に一回立ち読みしただけですが。
 でもって、その余韻がまだ残っている昨日の段階で感想を書こうと思っていたんですが、そして実際途中まで書いたんですが……感想を書きたいのか薀蓄を語りたいのかどっちだ簾屋、という自問自答の坩堝にハマって結局全部消しました。

 で、感想。

 カラーは綺麗。
 作画はさすが。
 明星よりも画面が見やすくなっているのは素晴らしい。
 ……え、ストーリー? や、普通だと思いましたよ。良くも悪くも。


 えー……ここから先、簾屋ちょっと厳しい事書きます。
 うっかりすれば、天野洋一先生ファンの方の怒りを買いかねない事を書きます。ただ、ブログを入ってすぐの所にさらすのはさすがに憚られるので、続きの方に格納しておきます。
 洋一に文句を言うなんて許せない! と思われた方は、ブラウザバックをお願いします。
 ほぉ、何を語るか見てやろうじゃねぇか、と思われた方には、とりあえず以下の点をご了承ください。

 明星の二次創作サイトをやっていますが、私は厳密な意味において天野洋一ファンではありません
 私は明星が好きです。明星という物語が確かに持っていた魅力、未来、可能性を考えると今でも本当に胸が躍ります。
 ですが、だからと言って天野洋一先生の作品全てが好きなわけではありません。実際明星の前に連載していたオーバータイムについては連載第一回で「あんまり続きそうにねぇなー」と思い、それほど真面目に読んでいなかった記憶があります。
 そして最近では、明星が好きで、明星から水滸伝にはまったが故に、「明星、こうしてりゃもっと良かったんじゃないかなー」と不遜な事さえ考えるようになっています。
 水滸伝を愛するが故に明星を「原典レイプ」と否定する水滸伝スキーの方々のように、明星の全てを否定する気は、もちろんございません。
 ですが、明星が好きで、明星を通して水滸伝を好きになったが故に、いくつかの点で批判的な意見を持つようになりました。

 これから書くのは、そういった話です。
 天野洋一先生ファンの方、あるいは私よりももっと純粋に明星を愛する方にとっては、不快な点が多々あるかと思います。
 それでも読んでやる、という方のみ、下記よりお進みください。





 ラノベ作家を目指して早数年、そっち系の新人賞で入賞するどころか一次選考にも通らないような代物しか書けない私が言う台詞ではありませんが――
 天野先生の作る物語って、それだけ取り出すと実はそれほど面白くはないんですよね。
 今回の『あそびもの』も、読みきりストーリーとして綺麗にまとまってはいますが、「うわぁ、これもっと読みたい! 週刊の方で連載してほしい!」とは思いませんでした。ストーリーだけを見るなら、WJ16号で掲載された読みきりの『デビル☆クラッチ』の方が私は連載で読みたいと思いました(まあ、設定や主人公の行動動機が明確かつ私好みというのもありますが)。
 この傾向、実は明星で顕著だったりします。
 単行本が手元にある方、一巻をご覧いただきたい。読者の気を引かなければいけない第一話から第三話まで、ストーリーだけを取り出して精読してみましょう。
 第三話は、義賊・替天行道の一応の行動動機が明らかにされる回だから、何の問題もありません。
 問題は第二話です。
 お気付きの方もいるかもしれませんが、この第二話、ストーリーの構造が第一話とそう変わらないんですよ。
 つまり、

 腐敗した役人が民を苦しめている現場に遭遇
   ↓
 戴宗、やる気ないようでがっつり介入
   ↓
 役人を倒してめでたしめでたし

 更に同じく第一巻収録の第五話、これは林冲さんの過去が明らかになる大事な回で、その辺りの話の進め方はいいのですが、

「生き残った獣(ヤツ)が“王”(すべて)だ!!!」
   ↓
 戴宗、林冲、お互いの必殺技をぶつけ合う

 と、次の話をワクワクして待つ、という引き方をしていない。
 第五話辺りを本誌で読んでいた時、私はまだ明星にはまりきってはいませんでした。だから第五話の引き方を見た時、「あ、この話、長くないかも」とマジで思いました。
 そしてその予感は、王進様開封離脱編が終了した次の回の第九話『晁蓋、夢に天啓を見る』で更に高まりました。第九話という、長編ストーリー漫画ではまだまだ初期段階にある時に、これまでその存在を匂わせてもいなかったキャラを十人も(今、改めて数え直して本当にびっくりしました)出したのですから。
 明星以前に水滸伝を読んだ事がある人なら、ニヤリとするかもしれません。
 が、今のジャンプ読者(と想定されている小中高生辺り)が、日本においては三国志よりもマイナーな水滸伝を読んでいるとは思えない。
 つまり第九話、本当なら「戴宗と翠蓮と林冲は、開封をどうやって抜け出したの? どうやって逃げるの?」という読者の期待に応えなければいけないところを、そこを濁して(おそらくてこ入れの)新キャラ大量投下をしてしまった回なのです。
 絵的に映える新キャラが何人か出てきた程度で「お、面白くなってきたぞ」と思うほど、最近の読者は甘くありません。漫画でもゲームでもラノベを初めとする小説でも映画でも、エンターテイメント全般は一昔前よりずっとバリエーション豊富で面白くなっているんですから。読者の目は良くも悪くも肥えています。
 それなら、一回りして水滸伝をそのままストレートに漫画化した方が余程面白かったのでは、と、原典(百二十回本)を読んだ今の私は思います。水滸伝という物語は、きちんと解りやすく、かつ現代人の感覚に照らし合わせて眉をひそめるような描写やシーン(具体的に言えば小衙内事件とか祝家荘戦後始末とか)を上手い事アレンジできれば、そこらの漫画に負けないだけの魅力を元々持っているのですから。
 主人公に据えた戴宗に、後ろ向きな行動動機しか持たせられなかった事。
 その行動動機を、連載初期でなく打ち切りの危機が迫った時のてこ入れ策で披露した事。
 一〇八魔星というチート能力をまるで取ってつけたかのように突然出した事。
 一ページのコマ数が多く、画面がとにかく見づらい事。
 そして、読者を物語にきちんと惹きつけるだけの構成、演出が出来ていなかった事。
 明星という物語が悲しい事に持ってしまった弱点は、主にこの五つだと私は思っています。
 翻って、『あそびもの』。
 立ち読みで一読、しかもジャンプネクスト現物が手元にないので詳細な分析は出来ませんが、読んだ限り、五つの弱点の内克服できたのは行動動機の前後ろと画面の問題だけでしょう。明るくポジティブな主人公の白神十衣でしたが、何故「あそびもの」として九十九神を鎮めるのか、その肝心な、核となる動機は明らかになっていませんでした(多分、設定過多ゆえに50ページで披露できるものではなかったのでしょう)。和御霊の九十九神に好かれて使役できる理由も分からなかった(というか、描写されてましたっけ?)し。構成と演出は、読み切りとしては普通なレベルではなかったでしょうか。

 色々書きましたが、私は、それでも明星が好きです。
 戴宗さんが好きです。翠蓮ちゃんが好きです。林冲さんが、扈三娘さんが、小五が、安道全医師が、薛永が、晁蓋さんが、モコモコが、とにかく皆大好きです。
 封神演義以来単行本を買おうとも思わなかったジャンプ漫画の中で久しぶりに買って手元に置いておきたいと思った漫画ですし、封神演義ですらやらなかった二次創作をやりたくなった漫画です。
 何より、私を水滸伝という新しく面白い世界に出会わせてくれた漫画です。「私だったら、水滸伝をこう書く」というイマジネーションのきっかけをくれた漫画です。
 私は明星が好きです。大好きです。今でももっと読みたいと思います。智取生辰綱が読みたいです。武松の虎退治と仇討ちがどうアレンジされるのかが見たいです。祝家荘戦、私が林扈のために書いたあんな紛い物ではない、本物の、天野洋一先生が書いた明星の祝家荘戦が読みたいです。宋江さんが窮地に陥る江州編で戴宗さんはどうするのか、上記の小衙内事件をどうするつもりだったのか、明星では影も形も見られなかった有名どころの好漢である花栄さんや私の最愛の李俊さんなどがどうデザインされていたのか、田虎、王慶、方臘との戦いはどうするつもりだったのか、何より、戴宗さんと高キュウのラストバトルはどのように始まり、どのように終結するはずだったのか――私ごときの想像・妄想が及びつかないところにある明星の真実が、本当に読みたかったです。
 ですがその一方で、「天野先生のストーリーテリング力が上達しないなら、むしろやらないでくれ」とも思うのです。明星を愛するが故に、公式でがっかりなストーリー展開をされるなら自分で好き勝手に妄想し、それを大切にしたい、と私は思うのです。
 それくらい、私は明星が好きです。
 同時に、天野先生には厳しい目を向けるのです。


 あー……何か、上手くまとめられなかったような気がしますが、とにかくジャンプネクストの読み切りを読んで簾屋が感じたり考えたりした事は、以上です。
 こんな長くグチャグチャで、辛口どころの騒ぎではない意見を読んでくださったあなた、ここまでお付き合いくださり本当にありがとうございました。
 ご意見感想反論その他、何かございましたら拍手よりお願いします。ですが、感情が先走って論理的になっていない、要約すると「お前の言う事気にいらねぇ」的なご意見に関しましては、申し訳ないですがろくすっぽ相手しませんのでご了承あれ。

 さて、戴翠妄想でもしながらそろそろ寝るかー。
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