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更新履歴、拍手の返信、時に明星について鬱陶しいほど語ってみる
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 前回投下から四日ほど経って、ようやくの連投四夜目でございます。最早連投じゃねぇぜ。
 というわけで、いつもの簾屋式からはかけ離れた、もしかしたら結構真っ当な創作水滸の小話(ではあり得ない)『夢見たっていいじゃない』、最終話の投下と参ります。
 下記リンクテキストよりどうぞ!


§


‐4‐



 あたしは反射的に起き上がると、お尻をつけたままズルズルと後ろに下がった。背中が卓の足にぶつかり、そのままそれに取りすがる。
 そんなあたしの様子に、張文遠は少し困ったように笑って、
「酷いな。そんな態度を取らなくてもいいじゃないか、婆惜」
 卓のふちに手をかけ、必死に立ち上がろうとするが、足がもつれて上手く力が入らない。焦れば焦るほど立てなくて、そうしている内に張文遠は悠然とした足取りでやってくる。そしてあたしの前でしゃがみ込み、目線を合わせた。
「でも、嬉しいな。やっと二人きりだね、婆惜。私たちを邪魔する者は誰もいないよ」
 と、あたしに手を伸ばしてくる張文遠。逃げようと身をよじるが、その手はあっさりとあたしの髪を一房捕まえた。
 触れ、掴み、指先に絡め。感触を確かめるように弄ぶ張文遠。その様にあたしは言いようのない恐怖を味わう。
 ざわめく心を必死で落ち着かせながら、あたしは震える唇を動かした。
「じ……邪魔?」
「そうだよ婆惜。あの婆さんと来たら、盛りのついた雌犬みたいにいつも私にまとわりついて……お前の代わりだと思って我慢して相手してやってたら、何を勘違いしたのか、女房にしてくれ、なんて。ははっ、冗談じゃないよ。私が欲しいのは婆惜、お前なんだから」

 吐き気がした。
 眩暈がした。

 そんな事で、おっ母さんは殺されたのか?
 あたしがけしかけたから、おっ母さんは殺されたのか?

 娘のあたしより贅沢と男が好きだったおっ母さん。
 この男に夢中だったおっ母さん。
 どうしようもない人だったけど、おっ母さんは多分、こいつに恋してた。本当に添う事を夢見てた。あたしに焚きつけられて、小娘みたいにはしゃいでた。
 しょうもない人だった。

 でも――そんな事で、殺されていい人じゃなかった。

「――冗談じゃないわ」
 腹の底から湧き上がってきたのは、怒り。
 これまで生きてきた中で感じた事がないほどの激しいそれに、あたしはいけないと思いつつも身を委ねていた。張文遠をキッと睨みつけ、髪をいつまでも気色悪く弄ぶ汚い手をパンッと払いのけ、感情のままに吐き捨てる。
「誰があんたのものになるもんか! あたしをものにしていいのはこの世でただ一人、宋江様だけよ! あんたみたいな気色の悪い人殺しの下衆になんか、指一本触れられてや――」

 パァンッ!

 耳のすぐ傍で響いた音が何なのか、一瞬分からなかった。
 いや、音だけじゃない。一瞬暗くなり、光が瞬いていつの間にか光景が一変していた視界。左頬の衝撃。それに押し流されて床に崩れ落ちる体。分からない。何、これ。
「――う……」
 遅れてジンジンと疼き、脈打つように痛み出した頬と、口の中に広がった鉄臭さ。床に倒れ込んだまま、ああそうかと気付く。

 左頬を、張られたのだ。

 女の頬を殴るなんて、何て奴。よくも殴ってくれやがったわね――そんな怒りが湧くより先に、あたしは胸倉を掴まれて無理矢理起こされた。まだ少し霞む視界には、醜く冷ややかに歪んだ張文遠の顔。
 その唇が、わななきながら動いた。

「――――――――お前もか」

 え?

「お前も、あいつか」

 あいつ?
 ……宋江様の事?

「どいつもこいつも、及時雨だ孝義黒三郎だ……――あんな男のどこがいい! まともな詩の一つも作れない男のどこがいい! 小唄の一つも出来ない男のどこがいい! 不細工で、金も持っていなくて、気も利かなくて……何故だ! 何故俺ではなくあの黒三なのだ! 朱仝も、雷横も、知県まで! 何故皆あの男がいいと言うのだ、俺ではなく!」

 ――この瞬間、この言葉で、あたしは全部理解した。

 これが、こいつの本性だ。

 こいつは、あたしに恋したから欲しいんじゃない。


 あたしが宋江様の妾だから、欲しかったのだ。


 こいつを突き動かすものは、宋江様への嫉妬。
 自分より格が低いと思っていた男が高く評価されている事に、こいつの矜持は傷ついた。だからこいつは宋江様を笑い者にしたかったのだ。あたしを横取りし、あたしのおっ母さんとも寝る事で。
 でもあたしはこいつの物にならず、宋江様の評判は「女を寝取られた」っていうあやふやな噂程度で傷つくようなやわなもんじゃなかった。そしてあたしが宋江様に嫁ぐ事が内々に決まったと来た。「閻婆惜は宋江から張文遠に乗り換えた」という噂はあっという間に払拭され、張文遠は孝義黒三郎の許婚に横恋慕した身の程知らずの道化に成り下がった。

 だから、ここに来た。

 あたしを、無理矢理にでも自分の物にするために。

 冗談じゃない。
 冗談じゃない!

 怒りがあたしの体を突き動かす。
 ドンッ!
 あたしは張文遠を思いっきり突き飛ばした。
 いきなりそう来るとは思ってなかったのか。無様に床に尻餅を突く張文遠。胸倉を掴む手が離れる。あたしはとにかく離れたい一心で立ち上がって、窓の傍まで下がる。
 行き止まり。袋小路。完全に追い詰め荒れた格好だ。逃げ場はない。驚きと憎しみの表情で起き上がりつつある張文遠の姿に、とっさに後ろに逃げた自分を恨む。
 力で敵うはずもない。
 頭だって向こうの方がずっといい。
 どうする?
 どうすればいい?

 ――こうする事しか思いつかなかった。

 あたしは身を翻して窓の外に乗り出すと、夕暮れ間近の町に向かって叫んだ。

「誰かっ! 誰か助けて! 張文遠に殺される!」

 叫ぶ中、このあばずれめ、という罵声を聞いた気がした。
 だから後ろを振り返った。
 そしたら視界の端の方で何かがギラリと光った。こちらに向かってくる。
 避けようとして、身をよじって――

 左の脇腹にぶつかる衝撃と、鋭い熱を感じた。

「――あ……」

 たまらず呻く。
 熱い。
 痛い。
 包丁で手を切った痛み、に似ている。だが脈打つ痛みはあれとは比べ物にならない。ぶつかってきた張文遠がゆっくりと離れるのと同時に、あたしは痛む脇腹を押さえてその場にズルズルと座り込んでいた。
 手に当たる感触がジワリと濡れていく。
 血だ。
 刺されたのだ。
 痛みをこらえ、浅い息をしながら、目の前で立ち尽くす張文遠を睨み上げる。


 笑っていた。


 どこか虚ろな、引きつった笑いで佇んでいる張文遠。血に濡れた匕首を持つ手をダラリと下げ、頬をヒクつかせながら薄ら笑いを浮かべている。
「――お前が、悪いんだぞ」
 こぼれる声まで虚ろだった。
「お前が、朱仝が、雷横が、皆が、悪いんだ。この俺より、あんな男を、好漢なんて言うから……」

 ――はっ。

 あたしの漏らした笑いに、張文遠の笑みが凍る。

「だったら……一人で、くだ巻いてなさい、よ……この、下衆野郎……」

 張文遠の歪んだ表情にぼんやりと怒りが差し、

「あの人の、凄さが、分からないなんて……あんたは、結局……その程度、よ」
「黙れこのあばずれがっ!」
 前髪を鷲掴みにされる。無理矢理顔を上に向けさせられる。髪の毛がブチブチと切れる音がして、痛みが走る。でも脇腹の痛みの方が酷くて、あたしはぼんやりとそれを受け止めるだけ。
「お前みたいな売女が正妻になるだと!? はっ! 高望みしやがって! どうやってあのクズをたらし込んだんだ? 俺にも同じようにお願いしてみろよ! お願いします助けてくださいませ、ってよぉ! そうしたら医者に連れてってやるよ、大事に大事に抱えてな!」

 あたしは――
 クツクツと、笑っていた。
 愉快だった。
 どうしようもなく愉快だった。
 張文遠。
 何てどうしようもない男。
 こんな小娘一人に振り回され、激昂して、手まで汚して。
 馬鹿みたい。
 あたしを売女だのあばずれだの言うこいつには一生分からないだろう。あの人の素晴らしさが。
 世間から見れば、あたしは確かに売女かもしれない。あばずれかもしれない。及時雨に泣きついて無理矢理妾に納まったんだから。
 あの人を好漢と敬い慕う人たちからすれば、あたしは天下の好漢を惑わせた悪女だ。
 でも、あの人は――宋江様は。


 一度だってあたしを、そんな目では見なかった。


 あたしを嫁入り前の普通の娘として、大切に扱ってくれた。
 おっ母さんの手前、床は一緒にしたけれど、一度だって触れようとはしなかった。抱こうとしなかった。
 そんなあの人の態度に、あたしは少し不満だったけど――大切にされていたのだと思うと、もう怒りや不満なんて欠片も湧いてこない。
 野暮な人だけど。
 八方美人な人だけど。
 風采が上がらない人だけど。
 気が利かなくて、煮え切らない人だけど。


 だけどあの人は、誰よりも優しい。


 だからあたしは、張文遠を真っ向から睨み据えて、言ってやった。
「――――――――お断りよ」
 張文遠の顔色が恥辱に染まる。
「あたしは、及時雨宋江に、女房になる、女よ。あんたの物になるくらいなら――」
 そうして、笑う。
 人生で最高の笑顔を浮かべる。

「死んだ方がマシだわ」

 張文遠は毒々しいほどに顔を紅潮させると、あたしの前髪から手を離し、怒鳴り声と共に匕首を逆手に持ち直して頭上に掲げた。
「なら死んで後悔しろ、この雌犬が!」
 匕首の切っ先が、あたしにピタリと据えられている。
「ズタズタに引き裂いて、あいつの前に――――」


 ビクンッ。


 と、張文遠の体が大きく痙攣した。
 振り下ろされるはずだった匕首の先を見つめていたあたしは、あれ、と思う。憤怒の表情を凍りつかせた張文遠は、が、と呻き、まるで錆びつきでもしたようなひどくぎこちない動作で後ろを振り返る。
「――て、め……こ、の、こく――」
 そこで途切れた。
 張文遠は一瞬にして力を失い、匕首を落とすと、ガクリと膝を突いて前倒しに倒れてきた。あたしはとっさに倒れかかってきた張文遠の体を押し退ける。左に倒れたこいつの、床にくっついた顔は、さっきと打って変わって青白い。
 倒れた背中に匕首が刺さっていた。
 刺されたのだ。

 ――刺したのだ。

 この人が。

「宋……江、様……」
「――婆惜!」
 張文遠を背後から一突きした宋江様は、自分のした事におののいて真っ青な顔で震えていたけれど、あたしが呼ぶと下衆男の体をまたいで傍に来てくれた。
 その姿に、あたしは申し訳なさと嬉しさでいっぱいになる。

 ――手を汚させてしまった。

 ――手を汚してくれた。

 浅ましくて身勝手な喜び。そんなのは分かってる。でも、嬉しいんだからしょうがない。
 だって、そうでしょ? 好いた人があたしのために手を汚してくれたのだ。女冥利に尽きるって、きっとこういうのを言うんだ。
 あたしは微笑む。来てくれてありがとう、宋江様、と。だけど宋江様の顔色はもっと青くなる。あたしが手で押さえたままの脇腹を見て。
「婆惜! 婆惜、しっかりしろ婆惜! 今、医者に――」
 ああ、うん。分かった。ありがと、宋江様。
 でもさ、何だかあたし、目ぇ開けてらんないの。眠いとかじゃない、と思うんだけど、さ……何だか、ぼんやりしてきて……貴方の顔も、もう、よく見えない――
「婆惜……!? しっかりしろ! 頼む、目を開けてくれ! 婆惜……――!」

 ――そんなに何度も呼ばないで。
 幸せすぎて、怖くなっちゃう。

 そんな感慨を胸に、宋江様の呼び声を耳に、あたしは沼に沈んでいくように意識を失って――――――――――




















 ――――――――――何がどーしてこうなった。

「それにしても憎らしいのは張文遠! 宋江殿をこのような窮地に陥れるなど、死体に鞭打っても飽き足らぬ!」
「さよう。あの姦夫めが大それた事さえ考えなければ、宋江殿がこのような苦境に立たされる事もなかったのだ」
「いえ雷都頭、朱都頭、これも全て身から出た錆。お二人に迷惑はかけられません。どうぞ私を役所へお連れください」
「何を言われるか宋江殿……! 宋江殿にどのような罪があると言うのか!」
「雷横の言う通り。宋江殿はただ許婚の閻婆惜殿を守ろうとしただけ。出頭する事などありません」
「ですが、私は人を……!」
「あのような下郎、殺してやった方が世のため人のためというもの!」
「宋江殿が気に病まれる事ではない!」
「けれど、私は出頭しなければ婆惜にまで罪が――」

 あー、もう、鬱陶しい。

 狭い穴蔵の中で額を突き合わせて堂々巡りの問答を繰り返しているいい歳こいた旦那方にいい加減嫌気が差したあたしは、とりあえず、うちの旦那様を一発蹴り転がした。

「「婆惜殿――――っ!?」」
「……何か? 雷横の旦那、朱仝の旦那」
「――いえ」
「――何でもありませぬ」
 あたしはふんっと鼻で荒く息をする。まったく、男ってのはこういう時に頼りない。


 さて、ここはどこで、どうしてあたしと宋江様は鄆城の都頭である朱仝と雷横の両旦那と額を突き合わせているか。
 ここは宋家村の宋江様のご実家の、仏間の下にある穴蔵。ちょっと物持ちの家になら必ず一つはある隠し部屋という奴で、あたしと宋江様はお父様の宋太公に言われてここに隠れている。
 張文遠の下衆野郎につけられたあたしの脇腹の傷は、出血がちょっと派手だっただけで、実は命に別状はなかった。あたしがあの時意識を失った理由? 人殺しと向き合って緊張しまくってたところに宋江様が助けに来てくれたのよ? そりゃあホッとして気絶もするっての。
 人をうっかり殺しちゃって馬鹿正直にその場に留まる奴はいない。って事で、あたしを抱えてご実家に逃げ込んだわけだが、おっ母さんと張文遠が殺された事はすぐに役所の知るところとなり、こうして宋家村に朱仝と雷横のお二人の旦那が来た、というわけである。
 で、どうして二人がこの穴蔵であたしたちと相談しあっているかといえば――

 この黒三、仏間の下の穴蔵の事、ペラペラ喋ってたらしい。

 馬鹿じゃないの?

 まあそれはそれとして、おっ母さんと張文遠が殺された事件から二日経った今の状況である。
 旦那方の話を総合すると、鄆城に戻るのはやっぱり危険すぎる、という事だそうだ。
 しかしそれは、ほとぼりが冷めてなくて、今ノコノコ行ったらとっ捕まるから、ではない。
 実は、事件の真相はもう噂となって広まっている――あたしに横恋慕した張文遠が邪魔なおっ母さんを殺し、宋江様があたしを守るために張文遠を殺した、という。
 根拠は、張文遠の日頃の行いと、宋江様のお人柄と、あたしがあの時窓の外に向かって叫んだ「張文遠に殺される!」という言葉。それらが役所のお偉方や町の人たちに「宋江に非はあるまい」と思わせてくれているそうな。
 つまり、今お役所に出頭しても流刑で済ませられる。
 だったら早めに行っといた方がいいんじゃ、なんて思うんだけど、これがさにあらず。

 自称「張文遠の許婚」の女たちが、殺気立って役所に殺到しているのだ。

 あの下衆と来たら、おっ母さんの他に、あちこちの女に手を出しまくっていたらしい。彼女たちが役所に殺到し、愛しの張三を殺したという冴えない黒三をさっさと捕まえて――と知県様に泣きついたと思ったら、いつの間にか愛人同士で争いが始まった。
 あんた誰よ、あんたこそ何なのよ、張三はあたしのものよ、あたしこそがあの人の許婚なのよ……そんな騒ぎで役所は今大混乱。そこにノコノコ下手人が現われたら、確実に興奮した彼女らに八つ裂きにされてしまうだろう――

 そんなわけで、しばらくどこかに身を隠していた方がいいだろう、という結論に至るわけなのだ――が。


「それで宋江様」
「な、何だ婆惜」
 よろよろと起き上がりながら応じる宋江様。ろうそくの灯りの中、ぼんやり照らし出されたこの人の顔はちょっとビクビクしている。
 無視してあたしは続けた。
「これからどうするんで?」
「……滄州の、柴大官人の元へ身を寄せようかと……」
「小旋風柴進!」
「あの柴大官人の元ならば、確かに身を隠すのちょうど良い!」
「だが滄州……これはまた遠い……!」
「我ら、宋江殿のお供をしたいけれど――」
「いえ朱仝殿、そのお心だけで十分です。滄州へは私一人で参ります。全ては私の責任なのですから」
「何という事だ……! 宋江殿の供さえ出来ぬとは……!」
「我が身のままならなさが憎らしい……!」

 ……何でこの人たちは、こうすぐに堂々巡りになるかしら。

 いい歳こいた旦那方三人が男泣きするのを唖然と眺めながら、とりあえず、あたしも滄州へ行く事にした。おっ母さんのお弔いは朱仝と雷横のお二人がやってくれるみたいだから、おっ母さんには申し訳ないけど遠慮なく宋江様のお供をさせていただく。
 だってそうでしょ?
 あたしは宋江様の許婚。この人の女房になる女。
 将来の旦那様を放ってぬくぬくと帰りを待つなんて、女が廃るってもんよ。



 でもあたしが夢見たままにこの人の女房になるのは、これから大体三年後、梁山泊に身を寄せてからなのだが――
 それはまた、別の話。


§



 何でこんな話を受信したのか、と問われると、手風呂を放浪していたらすっごく魅力的な婆惜ちゃんをお見かけしたから、としか言えない。
 そのイメージのままに書いたら、こんな好漢な婆惜ちゃんになってしまった。閻婆惜じゃねぇよこれ、という突っ込みはなしの方向でよろしくお願いします。

 宋江様の事を「冴えない」とか「煮え切らない」とか思っておきながら、その優しさと誠実さにベタ惚れな婆惜ちゃんと。
 婆惜ちゃんのきっついところにちょっと戸惑いながら、てきぱきしたところとかはきはきしたところとかを愛している宋江様と。
 まあそんな二人のラブなんだかコメディなんだかバイオレンスなんだか、そんな話が書いてみたかった、それだけの話です。
 一応この話の後にも物語はぼんやり続きまして、滄州で婆惜ちゃんは好漢の嫁の先達である柴大官人の奥方と出会って、好漢嫁の心得として匕首の使い方や啖呵の切り方などを学び、その後清風山で迫ってくる王英に啖呵を切って燕順や鄭天寿に気に入られ、清風寨で花栄嫁や花栄妹と親交を持ち、劉高の嫁と罵りあって引っかきあって髪を引っ張り合うキャットファイトを演じてくれる、と信じて疑ってません。
 でもこの婆惜ちゃんが宋江様の傍にいるなら、秦明様に降りかかる悲劇は起こらない、そんな気がする。そこんとこどうしよう。


 というわけで、創作水滸としてはある意味異端の宋江×閻婆惜中編『夢見たっていいじゃない』、これにて閉幕でございます。
 鄆城を離れざるを得なくなった宋江と遠婆惜の身に如何なる出来事が降りかかるか。それはまた、いずれの機会に。
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