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更新履歴、拍手の返信、時に明星について鬱陶しいほど語ってみる
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 何かもう原典知らない人には厳しい仕様になっているこのブログですが、気にせずやりたいように突き進む所存の簾屋です。需要? 何それ食えんの?
 自分水滸こと簾屋式水滸を書きたいなー、という気持ちが強まる昨今。その衝動を落ち着かせるために、頭の中にある簾屋式水滸のワンシーンをつまみ書く事にしました。こうでもしねぇと見切り発車オーライをやってしまいそうなので。
 というわけで特に何の需要もなさそうな自分水滸のつまみ書きその1、大して面白くもないそちらは下記リンクテキストからどうぞ!


 の、前に。
 拍手ありがとうございました!



§



北斗の夢


 ――闇。
 黒の内に藍や青や蒼を抱いた、夜色の闇。
 その冴え冴えとした闇の中に、漂っていた。佇んでいた。あるいは浮かび、あるいは立ち、あるいは寝そべっていた。
 身を突き刺すような冷たさを備えていながら、それでいて全てをそっと包み込む優しさを持ちあわせている。そんな闇に、在った。
 ここは何なのか。
 自分はどうしてここにいるのか。
 そんな疑問すら浮かべないまま、彼はただ闇の中に在り続けた。在って、在り続け、在り続ける。
 その、永劫とも一瞬ともつかない時の果てに、それは、来た。


 ――――――――光。


 闇の片隅に、微かな光が灯る。
 それは針の先でつついたような、微かな、ごくごく小さな光の粒だった。しかしその一粒目が灯ってから、一つ、また一つと輝きが増えていく。青、白、黄色、赤、様々な色合いの輝きが、無数に。
 そうしていつしか闇に光が満ちる。無数の光が満ち、瞬く。

 星空だった。

 その光景はさながら、只中から見る星空だった。

 満天の、星。
 銀河。

 ああそうか、と彼は知る。
 彼がこの闇の中に在った理由。
 これを待っていたのだ。
 星を、待っていたのだ。
 この輝きこそ、待っていたのだ。

 気付いた彼は傍らを見る。
 そこで輝く七つの星。それは慣れ親しんだ輝きだった。毎日顔を突き合わせる家族のように感じられる輝きだった。
 ああ何だ、ここにいたのか。微笑む彼の目の前で、七つの星の輝きは増し、あっという間に目も眩むほどの光を放ち――



 ――これが、晁蓋が目を覚ます前に見た夢だった。
 星より眩しい朝日を受けながら、牀の上で晁蓋はしばし呆然とする。何だ今の。見慣れた自室の天井のしみを見つめている内に、泣き出したくなるほどに美しい星空の夢は、それこそ夜明けの星のようにおぼろに霞んで消えていく。
 しかしそれでも覚えている事が、一つ。
 自分の傍で輝いていた七つの星。


(――北斗七星の形……だったな)


 北斗の輝きだけが、何故か脳裏に焼きついて離れない。





 七人の仲間が晁蓋の元に集う――このしばらく後にそんな風に解釈された星空の夢の、その本当の意味を晁蓋が知るのは、数年後の事である。


§


 簾屋式水滸を書いた時、多分プロローグか第一章の初めに入るシーンより、皆様ご存知、晁蓋が「自分ちに北斗七星が降ってきた夢」の、簾屋式水滸バージョンでした。
 北斗七星、降ってないし。
 それどころかまるで違う夢だし。
 ええまあ突っ込みどころは色々あるんですが、あんまり解説するとネタバレになるのでれっつ割愛。


 ネタが書けたらまたやるよつまみ書き! 需要? そんなの知らね。
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