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更新履歴、拍手の返信、時に明星について鬱陶しいほど語ってみる
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 さてサイトを更新しましたが、それとは別勘定で今日も今日とて行くよ小話投下!
『翠蓮受け10のお題』ブログ小話第四夜。
 今日のお相手は、ベッタベタなツンデレヤンキー劉唐君だ!




4.繚乱



 泣いているところを劉唐に見られてしまった。

「――おい、何泣いてんだゴルァ」
「っ――!」
 草むらに座り込んでいた翠蓮は飛び上がるほどに驚いた。反射的に立ち上がって振り返れば、緑の丘の少し上の所で劉唐が面食らった表情で立ち尽くしている。
「ごっ……ごめんなさいっ!」
 何に謝っているのか、自分でも判らないまま駆け出そうとする翠蓮。だが、
「待てやコラ」
「っ……」
 彼の脇を通り過ぎようとしたその瞬間の厳しい声に、足が止まる。
「女が一人でピィピィ泣いてるなんざ、鬱陶しいんだよ」
「…………」
「だから――ここで吐き出してけ」
 僅かに目を瞠る。それから、いつの間にか詰めていた息を吐く。
 劉唐の声は、見た目と表情に反して少し優しい。だから彼女は、泣き腫らした目のまま微苦笑を作った。
「――……戴宗さんって、どうして、ああなんでしょうね」
「…………」
「あんな風に一人で戦って、傷ついて……――私、また、足手まといになって……」
 言っている内にまた涙が出てきた。手の甲で拭う。しかし拭っても拭っても涙が出て、どうしようもなくて、
「――――翠蓮」
「……?」
「手ぇ出せ」
 言われるままに手を出すと、劉唐は服の隠しから抜き出した拳をその上で開いた。
 赤、橙、黄、緑、紫、白。彼の手から解き放たれて翠蓮の掌にポロポロと落ちてくる、それは色とりどりの飴だ。
 思わず説明を乞うように濡れた顔で見上げると、彼は、どこかうんざりした顔で翠蓮の頭にポンと手を置いた。
「それ食って、元気出せや」
 と、クルリと回れ右をする劉唐。大股で丘を上っていく。
「――あの問題児にゃ俺からバシッと一言言っといてやるからよ」
 ぶっきらぼうで、優しい声と言葉を置いて。
 その背中に深々と頭を下げる。それからしばらくして顔を上げると、貰った飴を一つ、口の中に放り込んだ。
 広がった甘さは、優しくて、そして少し懐かしかった。


§



 とっても今更だが、翠蓮ちゃんには「お兄さん」が多いなオイ。
 立ち位置が実兄の林冲に、親戚もしくは近所のお兄さんの朱貴っちゃん。
 劉唐は、お兄さんはお兄さんでも義兄な感じ? 戴宗さんのお兄さん。だからバシッとビシッと決めるよ。しかし結末は眉毛全剃りだ!
 愚弟を引き取ってくれた兄貴としては、嫁を全面的に応援したい感じ? そんな劉唐と翠蓮ちゃんだったら面白い。


 明日のお相手は、とうとう来たよ、簾屋的には戴宗さん並みにラブな短命二郎・阮小五!
 今までとはちょっと雰囲気が違うので、乞うご期待!
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