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更新履歴、拍手の返信、時に明星について鬱陶しいほど語ってみる
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 昨日、地元の友人と六時間耐久カラオケをやって、その後遺症なのか、何か喉の調子が微妙な簾屋です。
 件の友人とのカラオケの一番のメリットは、彼女は、こちらが何を歌ってもドン引かない、という点です。平沢進を歌ってドン引かなかった奴を私は彼女以外知らない。ただ、『好漢歌』を歌った時にはさすがに驚かれたけど。

 まあそんな私の喉の調子はさておいて、今日も行くよ!
『翠蓮受け10のお題』ブログ小話第六夜、本日のお相手は席次は上から四番目のチートキャラ、公孫勝!




6.泡沫



 親指と中指とで輪を作り、そこに生まれた虹色の膜に息を吹きかける。
 呼気を孕んだ膜が膨らむ。球となったその一部が膜本体から切り離される。
 そうやって生み出される無数のシャボン玉に、わぁ、と少女の歓声が上がった。
「すごい……すごく綺麗です、公孫勝さん!」
 翠蓮はそう目をキラキラと輝かせる。青い空の下、水辺の緑の丘で風に舞うシャボン玉を夢中で見上げる彼女の方こそ美しい、と公孫勝は思う。
「そうか。翠蓮にそう言ってもらえて、俺も嬉しい」
「私も、こんなに綺麗なのが見られて嬉しいです!」
 花のように笑った彼女のために、もういくつかシャボン玉を作る公孫勝。と、そのすねがゲシッと蹴られた。
「おたく、何やってんの?」
 見下ろせば、草の上で仰向けに寝転んでいる戴宗がすぐ傍にいた。その体勢でこちらの足をゲシゲシ蹴ってくるその姿に、公孫勝はぱちくりと瞬きを一つ。
「……いたのか、戴宗」
「ああ、最初っからな」
「気付かなかった」
「そーかよ。
 で、おたく、何やってるわけ? あいつのご機嫌取り? 何、おたく、まさかロリ?」
 とゲッゲと笑い声を立てるが、戴宗の機嫌はすこぶる悪い。公孫勝はふむと考え込む。
「――……嫉妬か、戴宗?」
「……はぁっ? ちょっとおたく、何トチ狂った事言ってんの?」
 泡を食って起き上がる戴宗の鼻先に、フッ――とシャボン玉を一つ吹き流してやる。
 パチンッ。鼻先で弾ける音が意外に大きくて、少年は目を丸くする。
「シャボン玉のようなものだ」
「……は?」
「咲く花も、人の美しさも、こういう穏やかな時間も、全て、いつか弾けるシャボン玉のようなものだ」
「…………」
「俺に嫉妬するより先に、翠蓮を大切にしろ、戴宗」

 パチン、とどこかでシャボン玉が弾ける。
 いつか壊れる儚さがあるから、シャボン玉も、花も、人も、美しく、そして愛おしいのだ。


§



 公孫勝は傍観者のイメージ。
 戴宗さんの事は気に入っているし、翠蓮ちゃんの事は可愛いと思うけれど、それだけ。ただ眺め、時々構ったり分別臭いアドバイスをするだけで、それ以上は何もしない。
 兄貴分でもなく、友人でもなく、二人の人生にちょっとだけ顔を出して、それで終了。公孫勝ってそれくらいでちょうどいいんじゃないだろうか。
 全くの余談だけど、公孫勝の「全ては、いつか弾けるシャボン玉のようなもの」っていうスタンスは、もうちょっと突き詰めたい。『カオスの蝶』の続編(公孫勝・樊瑞和解編)を書こうかと画策中だから、その辺で公孫勝をちゃんと書きたいなぁ。


 明日のお相手は、さっさとこいつ主役の中編を書きたいのに頓挫中で困っている燕青君だよ!
 ところで、燕青の綽名は明星でも「浪子」でいいんだろうか。洋一が違うの考えていたとしても、浪子で行くけどね!
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